信託の会計
信託の会計処理は、金銭の信託やその他の金融資産の信託については企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」や日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」などに基づいて行われており、不動産の信託については日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第15号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」などに基づいて行われています。
改正信託法等を踏まえ、平成19年8月2日、企業会計基準委員会から実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」が公表されております。
本実務対応報告は、これまでの信託の基本的な会計処理を整理するとともに、改正信託法による新たな類型の信託について必要と考えられる会計処理を明らかにしたものであり、その概要は次のとおりです。
委託者及び受益者の会計処理(これまでの信託の一般的な分類)
自益信託においては多くの場合、信託財産とする財産の種類により「金銭の信託」と「金銭以外の信託」に分類され、さらにそれぞれ、委託者兼当初受益者が「単数である場合」と「複数である場合」に分類されます。
このため実務対応報告第23号では、信託を4つ(Q1~Q4)に分類し、委託者及び受益者の基本的な会計処理を整理しています。
信託行為によって信託財産とする財産の種類 | 委託者兼当初受益者 | |
---|---|---|
単数(合同運用を除く。) | 複数(合同運用を含む。) | |
金銭の信託 | Q1 | Q2 |
金銭以外の信託 | Q3 | Q4 |
なお、改正信託法による新たな類型の信託における委託者及び受益者の会計処理として、いわゆる事業の信託および自己信託については、基本的には上記の分類の枠内で整理され、また受益者の定めのない信託(いわゆる目的信託)については、原則として委託者の財産として処理することが適当とされております。
受託者の会計処理
改正信託法において、信託の会計は一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとするとされており、今後もこれまでと同様に明らかに不合理であると認められる場合を除き、信託行為の定め等に基づいて行うことが考えられます。
ただし、改正信託法に基づく限定責任信託や受益証券発行信託などの会計処理は、原則として一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準じて行うこととなります。
受益証券発行信託の会計処理については以下をご覧ください。