信託税制

1.信託財産の運用収益に対する課税

  • 信託に対する収益については、(1)受益者に発生時課税される信託(受益者等課税信託)を原則とし、(2)受益者に分配時に課税される信託(集団投資信託[※1]、退職年金等信託[※2]、特定公益信託等[※3])、(3)受託者に発生時に法人税が課税される信託(法人課税信託[※4])があります。
  • 受益者等課税信託では、法的には信託財産が受託者に移転しますが、税制上、受益者が信託財産に属する資産、負債、信託財産に帰属する収益、費用を直接有するものとみなして収益の発生時に受益者に課税されます。信託財産が賃貸用不動産であれば、賃料収入は、その発生した年度に、受益者に対して課税されます。受益者が受託者から実際に収益を受取ったかどうかを問いません。
  • 信託財産の資産、負債、収益、費用が帰属するものとみなされる受益者には、受益者のほか、信託の変更権限を有し、かつ信託財産収益の給付を受けることができる者が含まれます(税法上、みなし受益者といいます)。
  • 遺言で設定した目的信託でみなし受益者がいない信託のように、現に権利を有する受益者がなく、受益者とみなされる者もいない場合には、受益者が存しない信託となり、受託者に法人税が課税される法人課税信託となります。
[※1]
集団投資信託とは、合同運用信託、公社債投資信託、証券投資信託、国内公募投資信託、特定受益証券発行信託をいいます。合同運用信託の収益の分配は利子所得、公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の配当は配当所得とされ、これらの集団投資信託では、他の金融商品との権衡等から、収益の分配時に利子所得、配当所得として課税されます。
[※2]
退職年金等信託とは、厚生年金基金信託、確定給付企業年金信託、確定給付企業年金基金信託、確定拠出年金信託、国民年金基金信託をいいます。これらの信託は、従業員に対する退職金、年金について、信託を用いて社外に積立、給付する仕組みであり、支払事由により、退職所得、雑所得(公的年金等控除の適用あり)等として課税されます。
[※3]
特定公益信託等とは、法人税法において規定されている信託で、特定公益信託および加入者保護信託をいいます。これらの信託では、委託者、受託者が信託財産を有するものとみなされません。
[※4]
法人課税信託には、(1)特定受益証券発行信託以外の受益証券発行信託、(2)受益者等が存しない信託、(3)委託者を法人とする信託のうち、イ.重要な資産を信託するもので、株主を受益者とするもの、ロ.自己信託に類するもので、長期の信託、ハ.自己信託に類するもので、配当に裁量権を有するもの、(4)国内公募投資信託以外の投資信託、(5)特定目的信託があります。

2.委託者以外の者を受益者とする信託の受益者への課税

  • 信託の効力が生じた時に、委託者以外の者が受益者である場合には、その受益者が委託者から信託の利益を享受する権利を贈与(死亡に基因して権利を得た場合には遺贈)により取得したものとみなされます。

3.受益者が追加・交代した場合の取扱い

  • 受益者が存する信託において、受益者が追加、交代した場合には、新たに受益者となった者は、すでに受益者であった者から贈与(遺贈)を受けたものとみなされます。この受益者には、信託法上の受益者のほか、特定委託者が含まれます。
    特定委託者とは、受益者以外の者で、所得税法等におけるみなし受益者と同様の者であり、信託の変更権限を有し、かつ信託財産の給付を受けることができる者をいいます。
  • 信託法第91条に定める後継ぎ遺贈型および信託法第89条に定める受益者指定権等を有する者の定めがある信託等の受益者連続型信託の場合には、先行する受益者が一旦、信託財産全体について贈与(遺贈)を受けたものとして取扱われ、先行する受益者の死亡や受益者変更権の行使によって、後続する受益者が受益者となった場合には、後続する受益者は先行する受益者から贈与を受けたものとみなされます。

4.信託終了時の取扱い

  • 信託終了時に、受益者以外の者が信託財産の給付を受けた場合には、その者(帰属権利者)は、受益者から贈与または遺贈によって信託財産の給付を受けたものとみなされます。

信託の種類と収益に対する課税

受益者等に対する発生時課税となる信託
(受益者等課税信託)
不動産・動産の管理等の一般的な信託
受益者に対する分配時課税となる信託 集団投資信託 合同運用信託
証券投資信託
国内公募投資信託
特定受益証券発行信託
退職年金等信託 厚生年金基金信託
確定給付企業年金信託
確定拠出年金信託
国民年金基金信託 等
特定公益信託 等 特定公益信託
加入者保護信託
受託者に対して法人課税がなされる信託
(法人課税信託)
受益証券発行信託
受益者等が存しない信託
法人が委託者となる一定の信託
国内公募投資信託以外の投資信託
特定目的信託

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