年金信託

わが国の年金制度

わが国の年金制度は、運営主体により、公的年金と私的年金に大きく分類できます。

公的年金は、国またはこれに準ずる公共団体が実施するもので、社会保障としての性格から所得の基礎部分を充足することを目的としています。

これに対して、私的年金は企業(事業主)・法人団体が実施する企業年金および個人が自分の老後に備える個人年金のことをいいます。このうち、企業(事業主)が従業員のために実施するのが企業年金です。

企業年金には、厚生年金基金制度、確定給付企業年金制度などがあります。

なお、適格退職年金制度は、平成24年3月末をもって廃止されました。

公的年金・私的年金一覧

公的年金・私的年金一覧図

各種年金信託

厚生年金基金制度、確定給付企業年金制度に基づいて、企業(事業主)が年金給付にあてる資金を信託し、年金制度の管理・運営についての事務もあわせて信託銀行に任せるものを企業年金信託といいます。

また、国民年金基金制度に基づいて、国民年金基金が年金給付にあてる資金を信託銀行に信託するものを国民年金基金信託といいます。

年金数理人・アクチュアリー

厚生年金基金など年金財政が適正な年金数理に基づき運営されることを確保し、これらの加入員・年金受給者等の年金給付の受給権を保護するため、高度な専 門知識と深い経験を有し、公正かつ中立な立場から年金数理業務を行い、基金などの財政運営に責任を持つ者の資格制度として年金数理人制度があります。

また、年金や保険数理の専門家のことをアクチュアリーといいます。

マスタートラスト

マスタートラストとは、複数の運用機関に分散して委託されている年金資産を一元的に管理する業務のことをいいます。

アメリカでは、資産運用の高度化・効率化の進展とエリサ法による受託者責任の強化を背景に、マスタートラスト業務は定着しており、1つの信託会社(または銀行の信託部門)が複数の運用機関に跨る年金資産に属する有価証券の一元管理、各運用機関の運用成績等に関する高付加価値の情報提供(情報統合サービス)および有価証券貸出および有価証券貸出による効率運用等に係るサービスを一括して提供しています。

わが国では、アメリカで活用されているマスタートラストを参考に、資産管理専門の信託銀行が情報統合サービス業務を行っています。
 具体的には、三菱UFJ信託銀行、日本生命保険、明治生命保険および農中信託銀行が出資して設立した「日本マスタートラスト信託銀行」りそな銀行三井住友トラスト・ホールディングスが出資して設立した「日本トラスティサービス信託銀行」、みずほフィナンシャル・グループ、第一生命保険、朝日生命保険、明治生命保険、富国生命保険が出資して設立した「資産管理サービス信託銀行」の3信託銀行がそれぞれ、信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社に跨る年金資産に係る情報を集約し、それを加工・分析したうえで年金基金に提供する情報統合サービスの提供を行っています。

確定拠出年金

確定拠出年金は平成13年10月から確定拠出年金法の施行により導入されました。

確定拠出年金は、拠出された掛金が個人毎に明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに給付額が決定される年金であり、積立期間中の運用の結果により将来の給付額が変動します。また、加入者が離転職した場合等は、他の確定拠出年金に個人毎に管理された資産を移換できます。運用指図を各加入者が行うことと、このポータビリティが確定拠出年金の大きな特徴です。

確定拠出年金には、(1)事業主が労使合意に基づいて実施し、60歳未満の従業員が加入者となる企業型年金と、(2)国民年金基金連合会が実施し、自営業者等および企業年金の対象となっていない60歳未満の従業員等が申し出により加入者となる個人型年金の2種類があります。いずれも私的年金ですが、企業型年金は企業年金に分類されます。

事業主が拠出した掛金は損金に算入でき、従業員等が拠出した掛金は所得控除が認められますが、いずれも法令上の拠出限度額の範囲内です。

退職給付信託

平成12年4月1日以後開始する事業年度から退職給付会計基準が適用され、企業は企業年金および退職一時金を含む退職給付制度に係る債務(退職給付債務)を新たに開示することとなりました。このことを踏まえ信託銀行は、顕在化する年金資産の積立不足を圧縮するための信託商品として退職給付信託を取り扱っています。

退職給付信託は、企業が保有する有価証券等を退職給付にあてるために信託し、信託銀行がその有価証券等を当該企業の従業員および退職者のために管理する信託です。

企業が退職給付信託を設定した場合は、信託財産として拠出した有価証券等の時価相当額について退職給付債務を圧縮することができます。

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