郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

平成27年12月25日

郵政民営化を考える民間金融機関の会

一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国地方銀行協会
一般社団法人信託協会
一般社団法人第二地方銀行協会
一般社団法人全国信用金庫協会
一般社団法人全国信用組合中央協会
JAバンク・JFマリンバンク

郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

われわれは、国民経済の健全な発展を促すという観点から、これまで長年にわたり、郵貯事業の問題点を指摘し、改善を求めてきた。郵政改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならない。

上記の目的を踏まえ、改正郵政民営化法の附帯決議では、日本郵政が保有するゆうちょ銀行の株式全部処分に向けた具体的な説明責任を果たすことが求められているが、依然として、ゆうちょ銀行の完全民営化に向けた具体的な道筋は何ら示されていない。株式上場により郵政民営化は新たな局面に入ったものの、ゆうちょ銀行と民間金融機関との公正な競争条件が確保されない状況は続いている。

こうした状況での預入限度額の引き上げは、不公正な競争環境をさらに悪化させる懸念があり、漸く進みつつあるゆうちょ銀行と民間金融機関との連携・協調の流れに水を差すことなどを通じて、アベノミクスの最重要課題である地方創生の推進力に悪影響を与える懸念もある。

また、預入限度額の引き上げがゆうちょ銀行のさらなる規模拡大をもたらす場合、金利上昇に伴うリスクが一層増加し、将来的な国民負担の発生に繋がりかねない懸念がある。加えて、さらなる規模の拡大は、ゆうちょ銀行が中期経営計画で掲げた「資産運用戦略の高度化」の阻害要因にも繋がり、企業価値向上への悪影響を及ぼすことも懸念される。

こうした中、本日、郵政民営化委員会が内閣府特命担当大臣(金融担当)および総務大臣あてに提出した「今後の郵政民営化の推進の在り方に関する郵政民営化委員会の所見」(以下、所見)では、ゆうちょ銀行の限度額規制を緩和する方向が示され、「まずは引上げ幅を300万円程度とすることが妥当」との見解が示された。また、その実施にあたっては、貯金残高に係る目標額の変更、日本郵便に対する委託手数料の変更等の手段を適切に活用することや、緩和後の状況について郵政民営化委員会に対する定期的な報告を求めることが考えられるとした上で、「特段の問題が生じないことが確認できれば、必ずしも株式処分のタイミングに捉われることなく、段階的に規制を緩和していくことが考えられる」とされている。

今般の所見で示された内容は、前述した私どもの強い懸念を一定程度共有いただいたものと理解しているが、郵政民営化法では、基本理念として「利用者利便の向上」とともに「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じる」ことが掲げられていることも忘れてはならない。したがって、日本郵政グループにおいて、これらの懸念が現実化し弊害を生じることのないような適正な対応について早急に検討が進められ、ゆうちょ銀行自身においても、自らの中期経営計画の実現に向けた貯金規模のコントロール等の具体的な取組みが行われることが必要である。また、問題が発生した場合にその解消に向けた措置が講じられるよう、実効的な枠組みが構築されることが不可欠である。なお、今後についてもさらなる「預入限度額の引き上げ」ありきではなく、他の金融機関等との間の競争関係やゆうちょ銀行の経営状況に与える影響等を勘案した慎重な検討が求められる。

一方、今般の所見では、ゆうちょ銀行の新規業務について、地域金融機関との連携を含めた中期経営計画を具体化するために必要となる場合には、「行政として優先順位を上げて対応することが望ましい」との見解が示され、優先的に導入を検討し得る業務として、地域活性化ファンド等への出資が挙げられている。ゆうちょ銀行とわれわれ民間金融機関が公正な競争条件の下で切磋琢磨すると同時に、それぞれの機能や郵便局ネットワーク等も含めた経営基盤を活かしつつ協調・連携することを通じて、地方創生や成長戦略の実現に貢献していくことは大変意義深いことであると考える。

預入限度額が引き上げられた場合の様々な懸念の現実化を防ぐ適正な対応と、ゆうちょ銀行と民間金融機関による協調・連携の実行との両立を通じて、わが国の金融市場そして各地域も含めた国民経済の健全な発展に繋がる将来像が実現されることを切に希望する。

以上

ページのトップへ戻る