郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

平成24年12月18日

郵政民営化を考える民間金融機関の会

一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国地方銀行協会
一般社団法人信託協会
一般社団法人第二地方銀行協会
一般社団法人全国信用金庫協会
一般社団法人全国信用組合中央協会
JAバンク・JFマリンバンク

郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

われわれは、国民経済の健全な発展を促すという観点から、これまで長年にわたり、郵政事業における金融事業の問題点を指摘し、改善を求めてきた。郵政改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した金融事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならない。

ゆうちょ銀行が新規業務へ参入するにあたっては、その大前提として、将来的な完全民営化の実現を担保するとともに、「経営の抜本的な効率化」と「民間企業としての内部管理体制の整備」を徹底することが不可欠であり、そのうえで、個別業務ごとの新規参入の是非は、@公正な競争条件の確保、A適正な経営規模への縮小、B利用者保護、C地域との共存等を総合的に検討し、判断する必要がある。
 特に、間接的な政府出資が残るゆうちょ銀行の貸付け業務への参入については、「暗黙の政府保証」を背景とした資金調達面での優位性によって民間金融機関の業務を圧迫する懸念が極めて大きく、市場における経済合理性にもとづく価格形成を歪めるなど、国民経済の健全な発展を妨げる懸念がある。郵政民営化法においても、新規業務の認可の審査にあたり、日本郵政が保有するゆうちょ銀行の議決権の割合など、他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情を考慮することとされており、少なくとも、ゆうちょ銀行の完全民営化にかかる具体的な計画が示され、その実行が担保されない限り、貸付け業務への参入は一切検討されるべきではない。
 加えて、地域密着型金融の分野に巨大なゆうちょ銀行が参入することは、競争条件の観点のみならず、国民資産の最適配分という観点からみても著しく不適当であり、ゆうちょ銀行のビジネスモデルを再検討する必要があると言わざるを得ない。

しかしながら、本日、郵政民営化委員会が金融庁長官および総務大臣あてに提出した「株式会社ゆうちょ銀行の新規業務(個人向け貸付け、損害保険募集及び法人向け貸付け)に関する郵政民営化委員会の意見」の内容は、上記論点にかかるわれわれの主張が十分に反映されないまま、一定の条件付きでゆうちょ銀行の貸付け業務への参入を認めるものとなっており、到底容認できるものではない。

さらに、これまでにゆうちょ銀行が手掛けてきた住宅ローンの媒介業務等と、ゆうちょ銀行本体による貸付け業務への本格参入とでは、求められる能力・態勢は全く異なる。すでに激しい競争が行われている貸付け業務への新規参入は、ゆうちょ銀行の経営リスクを増大させ、結果として財務基盤が損なわれることとなれば、同行の株式価値の減少を通じて国民負担につながる懸念もある。

郵政民営化法では、基本理念として「利用者利便の向上」とともに「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じる」ことが掲げられている。これらの基本理念を両立させていくことが郵政民営化のあるべき姿であり、一方を重視することにより他方を蔑ろにすることがあってはならない。郵政民営化が国民経済の健全な発展に資するものとなるよう、ゆうちょ銀行の新規業務への参入については、関係当局および郵政民営化委員会において長期的な国益を踏まえた深度ある審議・検討が行われることを強く要望する。

以上

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