郵政民営化法の見直しについて

平成24年03月23日

一般社団法人信託協会
会長 野中 骼j

郵政民営化法の見直しについて

昨日、郵政民営化法修正に関して、自民・公明両党における協議状況についての報道がありました。

郵貯事業改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて国民経済の健全な発展を促すことにあります。したがって、郵政改革の議論が、一定の政府関与を残したまま金融事業の規模・業務範囲の拡大を指向する郵政改革関連法案から、現行の郵政民営化法の改正を基本とする方向に転換することは本来の改革の目的に適ったものであると考えます。

しかしながら、今回の自民・公明両党の協議内容では、新規業務規制について「金融2社株式の1/2以上処分後は届出制」に移行するとされています。

本来、金融2社の新規業務規制は、経済・社会情勢、民営化の進捗等、全体状況を踏まえてそのあり方を判断すべきものですが、政府関与が残されたまま届出制に移行する場合には、金融2社の業務範囲拡大による民業圧迫の懸念がある上、民間との適正な競争が担保されないことが懸念されます。なお、協議内容では、「他の金融機関との間の適正な競争関係への配慮」等を新たに義務付けることとされていますが、その内容は必ずしも明らかにされていません。さらに、金融2社株式の1/2以上処分時点で届出制に移行すること等を現時点で法律上規定する場合には、それ以降の株式処分のインセンティブを弱め、政府関与を残したままでの業務範囲と規模の拡大に繋がることが懸念されます。

政府出資が残る段階での日本郵政グループは官業と見做さざるをえず、このような公的な機関は、金融事業の規模を縮小した上で民業補完に徹するべきです。したがって、完全民営化までの間、金融2社の新規業務規制は少なくとも中立・公正な第三者機関による適正かつ厳格な審査を必要とする認可制を維持する必要があると考えます。

また、預入限度額に関して、協議内容では、「当面は引上げない」とされていますが、暗黙の政府保証が付された官業郵政の肥大化による民間の市場秩序の攪乱を防止するため、政府出資が残る期間は、その限度額の引き上げを行うべきではないと考えます。

以上

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